抗菌・抗ウィルス・抗真菌作用の違いを知ってより一層感染症対策に役立てましょう。
更新日:2021年6月11日
精油成分はそれぞれ効果や効能があります。リラクセーション、リフレッシュはもちろんですが
菌やウィルス、カビなどに効果を発揮する成分があり、それらの成分を含有する精油があります。

Eucalyblue aroma.tのアロマ資格コースの授業の中で
受講生さんたちが良く勘違いしているのが
精油成分の抗菌、抗ウィルス、抗真菌作用に関してです。
植物は人間のために精油成分を産生しているわけではありません。
では、なんのため?
それは、自分にとって有益な昆虫や鳥、動物を誘引し
種、花粉、実を遠くへ運んでもらうため
またそれとは逆に
自分にとって害のある昆虫や鳥、動物を忌避し
自分自身を守るために精油を産生しています。
この忌避作用の中に
抗菌、抗ウィルス、抗真菌作用を持つ成分があるのです。
成分によっては殺菌、殺ウィルス、殺真菌作用をもつものもあります。
ここで受講生さん達が勘違いしている部分が
菌、ウィルス、真菌はすべて同じ?
という部分です。
菌もウィルスも真菌もみんなバイキンのことですよね?と・・
広い意味ではそうかも知れません・・・
菌、ウィルス、真菌、原虫などを総称して
微生物といいます。
微生物とは顕微鏡でなければ観察できないような微小な生物です。
この中でも人々の健康に害を及ぼす微生物を
病原体または病原性微生物と言います。
きちんと違いを知っておくと
より一層、精油を使った感染症対策ができるようになります。
では、それぞれの違いを見ていきましょう
〜菌(細菌)〜
単細胞の微生物で核膜を持たない原核生物
球状、桿状、螺旋状の形態を有する
バクテリアとも呼ばれる
熱や乾燥、化学薬品に耐性を持つ芽胞を形成するものもある
MRSA、大腸菌、マイコプラズマ、結核など
いわゆる、バイキンと言われるものがこの細菌(バクテリア)です。
洗濯物の生乾き臭、雑巾の匂い、排水溝の匂いなどの元になる物が多く知られます。
〜ウィルス(Virus)〜
植物や動物など他生物の細胞を利用して増殖複製する
宿主のタンパク質合成やエネルギーを利用して増殖する
生物と無生物の中間物
アデノ、インフルエンザ、ノロ、ロタ、水痘(水疱瘡)、麻疹、風疹、ムンプス(おたふ)など
インフルエンザ、コロナ、水疱瘡、麻疹、おたふくなどで知られ
大変強い感染力を持ちます。一度体内に侵入すると抗原抗体反応が起こり
抗体ができると二度目の侵入時は軽症ですむことでも知られますが
インフルエンザなどは少しずつ形を変えるためこれに当てはまらないものもあります。
帯状疱疹や口唇ヘルペスは水疱瘡ウィルスが神経に沿って潜んでおり
免疫力が低下すると顔を出すものです。
〜真菌(カビ)〜
きのこ、カビ、酵母の総称
菌糸状または単細胞
高い乾燥耐性を持つものもある
熱やエタノールへの低い耐性胞子を形成するものもある
白癬菌、カンジタ菌など

いわゆる、きのこや酵母などのように私達の生活に有益なものも多数あります。
病原体としての真菌には白癬菌がよく知られます。
水虫※手足や爪にできるもの
タムシ※陰部にできるもの
シラクモ※頭皮にできるもの
肺炎の原因となる真菌もあります
〜原虫(原生生物)〜
単細胞の真核微生物
単細胞の原虫を寄生虫として分類する
鞭毛、繊毛、骨格、殻など形態は様々
水中、動物寄生などするものが多い
ゾウリムシ、アメーバー、トリコモナス、マラリアなど
いかがでしょう
菌、ウィルス、真菌、原虫などを総称して微生物といい
その中でも私達の健康に害を及ぼすものを病原性微生物といいます。
それぞれ特徴があるため、適切な対応をしないとせっかく行った消毒が
なんの役にも立っていなかった・・・という残念なことにあることもあるのです。
抗菌、抗ウィルス、抗真菌作用のある精油をご紹介する前に
消毒についても少しご紹介します。これはアロマセラピスト資格の学科で学ぶ内容ですが
現在の様な感染症対策をしっかり行いたい時に知っておくと便利だと考えるからです。
消毒とは病原体を殺す、または無害化して感染を防止することを言います。
ここで除菌、抗菌、殺菌、滅菌についてご紹介します。
除菌
限られた空間や対象物の微生物を除去し減少させることで
除去する微生物の程度を限定しない
抗菌
細菌の増殖を抑制すること
同様にウィルスの場合は抗ウィルス、真菌の場合は抗真菌という
全てを総称して抗菌とすることが多い
※一般的には抗菌=細菌、ウィルス、真菌すべてをひっくるめて抗菌として
認識している事が多いようです。これが受講生さんが勘違いしてしまうところです。
殺菌
人体に有害な細菌を殺すこと、殺す対象や程度を限定していない
※有害な細菌を殺すつもりで有益な微生物も殺してしまうことがあります。
抗生物質の長期服用により腸内細菌が減少してしまうなどが知られます。
滅菌
全微生物を対象として殺滅、除去すること、微生物の生存している確率が100万分の1以下に
なることを持って滅菌とします。医療用の器具や容器、マスクなどに対して行われます。
〜消毒法〜

〜物理的消毒法〜
日光消毒法
おひさまに当てることで行う消毒法です。紫外線が持つ細菌の核酸を破壊する力を利用します。
メリットは簡単であること、デメリットは深部までは紫外線が行き届かないことよって殺菌は困難
対象物:リネンなど

紫外線消毒法
おひさまの紫外線をさらに強力にした方法です。おひさまよりは強力ですが深部までは届きません。
よって殺菌は困難です。
対象物:器具類(はさみ、クシ、ブラシなど)
煮沸消毒法
沸騰した湯で15−30分煮沸し消毒する方法です。一般的な細菌は数分で死滅するが
細菌の芽胞やB型肝炎ウィルスなどを完全に死滅させることはできない。
対象物:リネン類、器具類
蒸気消毒法
100℃の蒸気を30-60分当てて消毒する方法です。
結核菌(細菌)の一部、真菌、ウィルスには効果があるが芽胞には効果がない
対象物:器具類
〜化学的消毒法〜
消毒用エタノール
日本薬局方で15℃でエタノールを76.9ー81.4%含有するものを消毒用エタノールといいます。
無水エタノールに比べて消毒効果は高くなります。
アルコール度数の高い無水エタノールより消毒度数が高いのですね。
対象物:手指、器具類
次亜塩素酸ナトリウム
細菌の細胞膜、細胞質の有機物を分解し抗菌効果を発揮させる消毒法です。
細菌、真菌、ウィルスに対して殺菌効果を発揮します。
ノロウイルスなどのエンペローブを持つウィルスにも有効です。
注意事項として酸性洗剤などの酸性物と混合すると大変危険な塩素ガスを発生させます。
対象物:リネン類(ただし色落ちすることもあります)器具類(ただし金属製のものは劣化させます)
ミルトン、ピューラックスなど
グルコン酸クロルヘキシジン
低濃度使用では細菌の細胞膜を破壊、
高濃度では細胞内のタンパク質や核酸を凝固させ抗菌力を発揮させる消毒法
一般的な細菌には効果を発揮するが、結核菌、ウィルス、真菌には効果がない
対象物:手指、器具類
※石鹸成分が手指や器具に残っていると効果が低下するのでよくすすぐ
ヒビデン(市販されているものは5%希釈液)
逆性石鹸
一般に使用されている石鹸とは逆に水中で
脂肪酸陽イオンとなることで殺菌作用を発揮させる消毒法
泡立たせて洗浄する目的とは異なり、陰イオン(マイナスに帯電した)病原菌を
吸着することで強い殺菌力を発揮する。細菌、真菌、一部のウィルスには効果がある。
普通の石鹸と併用すると効果を打ち消し合い殺菌力は消失する
対象物:手指、器具類、リネン類
オスバン(市販のものは10%に希釈されてる)必ず薄めて使用する
私達が日常生活で手指の消毒に使用するのなら
消毒用エタノールが良いのではないでしょうか。
ここに抗菌、抗ウィルス、抗真菌作用のある精油を入れることで
香りも楽しみながらさらなる消毒効果を得ることができます。
以下に紹介する精油や成分のエビデンスは
嗅覚反応分析士トレーナー講座 作用とIM図より引用しています。
〜抗菌作用のある精油〜
シナモンカッシア
シナモンバーク
ラベンダーストエカス
タイムサツレオイデス
タイムゲラニオール
タイムツヤノール
タイムリナロール
タイムチモール
ゼラニウム・エジプト
パルマローザ
ティートリー
スイートマジョラム
ラベンダースピカ
ローズウッド
オレガノ
クローブ
マジョラムウィンター
アジョワン
レモン
ローレル
ニアウリシネオール
ティートリー
ユーカリグロブルス
ユーカリラディアータ
〜抗真菌作用のある精油〜
レモンユーカリ
リトセア(リッツエアクベバ、メイチャン)
シナモンバーク
シナモンカッシア
カラミント
パルマローザ
ラベンダースピカ
ゼラニウムエジプト
タイムゲラニオール
タイムチモール
タイムツヤノール
タイムリナロール
ティートリー
スイートマジョラム
ローズウッド
アジョワン
オレガノ
クローブ
マジョラムウィンター
ブラックスプルース
ニアウリシネオール
ローズマリーシネオール
ローレル
〜抗ウィルス作用のある精油〜
シナモンカッシア
シナモンバーク
シナモンリーフ
タラゴン
バジル
タイムゲラニオール
タイムチモール
タイムツヤノール
パルマローザ
ラベンダースピカ
ローズウッド
アジョワン
オレガノ
クローブ
シナモマスフレグランス
セージ
ニアウリシネオール
ラヴィンツァラ
ティートリー
ユーカリラディアータ
ローレル
ロックローズ
この中でも全ての項目に登場する精油が多くあります。
ただ、香りがきつかったり、皮膚刺激が心配だったりする精油もあります。
香りも優しくおすすめの精油は以下です
パルマローザ
ユーカリラディアータ
ローズウッド
ゼラニウムエジプト
ちょっぴりツンとした香りが好きな場合はこちら
ティートリー
ニアウリシネオール
ラヴィンツァラ
ローレル
消毒用エタノール10mlに10適で約5%濃度となります。
敏感肌の方は1%から徐々に濃度を上げていくほうがいいでしょう。
手指の消毒などにおすすめです。
10mlサイズ程度のスプレーボトルだと携帯しやすく便利です。
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